2006年関西研究大会 (日本ショーペンハウアー協会共催、日本カント協会協賛) ・「個人研究発表」をご希望の方は、5月31日(水)までに発表要旨をA4版用紙1 枚以内にまとめ、世話人までお送りください。 ・「懇親会」に出席される方は6月26日(月)までに世話人までお知らせください。 [世話人]山本幾生 〒564-8680大阪府吹田市山手町3-3-35 [日時]2006年7月1日(土)11:00-20:30 [場所]関西大学(千里山キャンパス) 尚文館(大学院棟) 〒564-8680大阪府吹田市山手町3-3-35 Tel.代表06(6368)1121 [プログラム] 1. 個人研究発表(11:00-12:30) 会場:尚文館(大学院棟)502教室 発表者:上島洋一郎会員(関西大学大学院生) 2. 共同討論(15:00-18:00) 会場:尚文館(大学院棟)508教室 「道徳論の諸相と行方 − カント、ショーペンハウアー、ディルタイ」 提題: 大野篤一郎氏(日本ディルタイ協会・神戸女学院大学名誉教授) 「ディルタイ倫理学の特色」 鎌田康男氏(日本ショーペンハウアー協会・関西学院大学) 「自由意志の神話崩壊後の道徳を問う ― ショーペンハウアーのミットライト倫理の現代的意義」 山本博史氏(日本カント協会・追手門学院大学) 「カントの賞味期限」 司会: 山本幾生(関西大学) 3.懇親会(18:30-20:30) 会場:Bon Plat(新関西大学会館南棟4階レストラン) 会費:5,000円 共同討論の趣旨 共同討論のテーマは「道徳論の諸相と行方」。このテーマ設定は、日本ディルタイ協会が全面的にバックアップして法政大学出版局から刊行中の『ディルタイ全集』第六巻『倫理学・教育論集』に因んだものです。その際、「教育論」については昨年12月の全国大会においてシンポジウムが開催されましたが、まだ「倫理学」については討論されておりませんでした。そこで今回の企画となった次第です。 もっとも、教育論についてはディルタイの後継者が輩出したのに対して、道徳論に関してはそうした流れもなく、そもそもディルタイ自身が「道徳」あるいは「倫理」をタイトルにあげて主題的に論じている論著はごくわずかしかありません。1864年の学位論文「シュライアーマッハーの倫理学原理について」および同年の教授資格論文「道徳意識の分析の試み」、そして1890年の講義「倫理学の体系」があるのみです。ここからすればディルタイが目指したのはやはり精神科学の基礎づけであって、道徳論は彼の視野に入っていなかったと思われるかもしれません。しかしディルタイは、1875年の「人間、社会、そして国家に関する学問の歴史の研究について」の中で「人間、社会、そして国家に関する学問」を「道徳政治学」と名づけ、そして1883年の『序説』では、「道徳学」と「政治学」による「道徳政治学」を「精神科学」と呼ぶことになります。つまり、「精神科学」は「文化体系の学」と「社会の外的組織の学」とに区分され、前者では道徳が、後者では国家がプロトタイプとされます。このように見れば、ディルタイにおける精神科学の基礎づけは、道徳論の基礎づけでもあります。 そこで今回は、ディルタイ研究のなかでもあまり取り上げられることのない道徳論を主題にし、その意義を掘り起こし、開拓することを意図しています。しかも今回の共同討論では、ディルタイの哲学のみに限定するのではなく、ディルタイが批判し乗り越えようとしたカントそしてショーペンハウアーの哲学にも視座を置いてディルタイの哲学を相対化し、現代の時代状況の中での各々の道徳論の「旬」と「賞味期限」を吟味することによって、「道徳論の行方」を見据えることを目標にしています。どうぞ奮って討論にご参加ください。 |